メインコンテンツへスキップ

NTTとAMDの提携、AIチップの未来はどう動く?

**NTT、次世代AIチップ開発でAMDと提携**について詳細に分析します。

NTTとAMDの提携、AIチップの未来はどう動く?

いやー、NTTがAMDと次世代AIチップ開発で提携するってニュース、目にしました?正直、最初の反応は「お、やるな!」というのと同時に、「これはどういうことなんだろう?」という疑問符が頭に浮かびましたね。AI業界を20年近く見ていると、こういう大きな動きがあると、その背景や将来性をじっくり考えたくなるんです。

僕自身、シリコンバレーの小さなスタートアップが画期的な技術で世界を変える瞬間も、日本の大企業がAI導入に奮闘する姿も、数えきれないほど見てきました。その度に思うのは、AIの進化というのは、単に新しいアルゴリズムやソフトウェアが出てくるだけじゃない。その根幹を支える「ハードウェア」、つまりチップの進化が、実は最も大きなインパクトをもたらすことが多い、ということです。

考えてみれば、NVIDIAがGPUをAI学習に転用して以来、AIの進化は爆発的に加速しましたよね。あの時の驚きは今でも鮮明に覚えています。だから、今回NTTがAMDという、GPUの分野でNVIDIAと並ぶ、あるいはそれに迫る勢いのある企業と手を組むというのは、単なる技術開発のニュース以上の意味を持っているんじゃないかと感じています。

でも、すぐには飛びつけないのが僕の悪い癖というか、慎重なところなんです。NTTといえば、通信インフラのイメージが強いじゃないですか。もちろん、NTTグループはNTTドコモ、NTTデータ、NTTコミュニケーションズといった多様な事業を展開していて、AI研究開発にも力を入れているのは知っています。特に、NTTの研究所では、量子コンピュータやニューロモーフィックコンピューティングなど、先進的な技術開発にも取り組んでいる。そんな中で、なぜ今、AMDと組んで「次世代AIチップ」を開発するのか。その狙いは何なのか、そこが一番気になるところです。

AMDといえば、長年IntelとCPU市場でしのぎを削り、近年ではNVIDIAが席巻するGPU市場でも存在感を増しています。特に、データセンター向けのEPYC™プロセッサーや、AIアクセラレーターとしてのInstinct™ MIシリーズは、その性能で注目を集めています。正直、AIチップ開発となると、どうしてもNVIDIAの名前がまず頭に浮かびますが、AMDも黙って指をくわえているわけではない、ということは分かっていました。彼らは、オープンスタンダードなエコシステム、例えばROCm™(Radeon Open Ecosystem)を推進することで、NVIDIAのCUDAエコシステムに対抗しようとしている動きも見せています。

今回の提携で、NTTはAMDの持つ半導体設計・製造のノウハウと、AMDのAI向けプロセッサー技術を借りることになるのでしょう。一方で、NTTがこれまで培ってきた膨大なネットワークデータや、AIを活用したサービス開発の知見、そして日本国内のインフラ基盤という強みを、AMDに提供する形になるのかもしれません。NTTが単独で最先端のAIチップをゼロから開発するのは、時間もコストも膨大にかかります。それを考えれば、実績のあるAMDと組むというのは、非常に現実的で賢明な選択肢だと、理屈では理解できます。

でも、僕が少し引っかかるのは、その「次世代AIチップ」というのが、具体的にどういうものなのか、という点です。AIの進化は止まらない。学習だけでなく、推論の効率化も重要になってきている。より低消費電力で、より高速な処理ができるチップが求められている。もしかしたら、NTTは、自社の通信インフラを支えるエッジAIや、次世代通信規格である6Gを見据えた、特殊な用途に特化したAIチップを求めているのかもしれません。あるいは、汎用的なAI学習・推論チップで、NVIDIAの独占状態に風穴を開けたい、という野心もあるのかもしれません。

過去の例を振り返ると、こういう大手企業同士の提携は、その発表だけでは見えない「裏」の事情や、思惑が絡み合っていることが多いんです。例えば、かつてインテルとARMが、特定の市場向けに共同でチップを開発するという話もありましたが、最終的には期待されたほどの成果を上げられなかったケースもあります。技術的な難しさ、市場のニーズとのズレ、あるいは社内のリソース配分など、理由は様々ですが、提携が必ずしも成功を約束するわけではない、という現実も知っています。

NTTが、AMDと共同で開発するAIチップに、どのような独自性を持たせるのか。これが一番のポイントになるでしょう。単にAMDの既存技術をベースにしたものでは、NVIDIAの強力なエコシステムに対抗するのは難しい。もしかしたら、NTTが強みを持つ、例えば、通信トラフィックの解析や、リアルタイムでのデータ処理に特化したアーキテクチャをチップに組み込む、といったことも考えられます。あるいは、NTTが開発を進めている、AIによる自己修復機能を持つネットワークインフラとの連携を前提としたチップという可能性もあります。

正直なところ、現時点ではまだ漠然とした部分が多い。でも、こういう動きこそが、AI業界の未来を形作っていくのだと思います。AMDがNTTと組むことで、彼らのAIチップ戦略は、より日本市場、そしてアジア市場に特化したものになるかもしれません。これは、NVIDIAにとっても、そして他のAIチップメーカーにとっても、無視できない動きになるはずです。

投資家としては、この提携がNTT、そしてAMDの株価にどう影響するか、という短期的な視点ももちろんありますが、それ以上に、この提携がAIエコシステム全体にどのような変化をもたらすのか、という長期的な視点で見る必要があります。もし、この提携が成功して、NVIDIA一強に割って入るような、革新的なAIチップが生まれるのであれば、それはAIの民主化、つまりより75%以上の企業や研究機関が、高性能なAIをより手軽に利用できるようになる、という大きなメリットにつながる可能性があります。

技術者にとっては、これは新たな選択肢が増えるということです。NVIDIAのCUDAに依存することなく、AMDとNTTが開発するプラットフォームでAI開発を進められるようになれば、開発の自由度が増し、より多様なアイデアが生まれる土壌が整うかもしれません。ROCmのようなオープンなエコシステムが、さらに充実していく可能性も秘めています。

でも、忘れてはいけないのは、AIチップ開発の難しさです。最先端のファウンドリ、例えばTSMCのような企業の最先端プロセスノードを利用するには、莫大な費用がかかります。また、チップ設計には高度な専門知識と、長年の経験が必要です。NTTが、この分野でどれだけの専門人材を投入できるのか、そしてAMDとの連携がどれだけスムーズに進むのか。そこも、今後の見守るべきポイントだと思います。

個人的には、NTTが通信インフラという、AIが最も必要とされる領域の1つで、自社でハードウェア開発に踏み込むというのは、非常に理にかなっていると感じています。NTTグループが持つ、社会インフラを支えるという使命感と、最先端技術への投資意欲が結びついた結果なのでしょう。

この提携が、具体的にどのようなAIチップを生み出し、それがどのようなサービスに繋がっていくのか。そして、それが私たちの社会をどう変えていくのか。まだ始まったばかりの物語ですが、AI業界のベテランとして、これからもこの動きを注視していきたいと思っています。あなたはどう感じますか? この提携が、AIの未来をどう動かす可能性があると思いますか?