Oracleの80万GPUスパコン発表、その真意はどこにあるのか?
Oracleの80万GPUスパコン発表、その真意はどこにあるのか?
いやはや、またとんでもないニュースが飛び込んできましたね。Oracleが80万基ものGPUを搭載するAIスーパーコンピュータ「Oracle Cloud Infrastructure (OCI) Zettascale10」を発表したという話、あなたも耳にしましたか?正直なところ、最初にこの数字を聞いた時、「また大風呂敷を広げたな」というのが私の率直な感想でしたよ。この業界に20年もいると、派手な発表の裏に隠された真の意図を探る癖がついてしまってね。
でもね、今回はちょっと違うかもしれない。単なる数字の羅列ではない、もっと深い戦略がそこにはあるように感じています。AIの進化は、もはやソフトウェアやアルゴリズムだけの話じゃない。その基盤となるハードウェア、特にGPUインフラの規模が、次の時代の覇権を握る鍵になっているのは、あなたも感じていることでしょう。私がシリコンバレーの小さなスタートアップから日本の大企業まで、数百社のAI導入を間近で見てきた経験から言わせてもらうと、この「インフラ競争」は想像以上に熾烈なんです。
今回の発表の核心は、OracleがOpenAIと組んで進める「Project Stargate」にあります。テキサス州アビリーンに旗艦スーパークラスターを構築し、将来的にはシャックルフォード郡やニューメキシコ州ドニャアナ郡、さらには中西部にも展開するという壮大な計画。これ、ただのデータセンターじゃないんですよ。次世代AIモデル、それこそGPT-5のような大規模言語モデルや、さらにその先のマルチモーダルAIのトレーニング、ファインチューニング、そして推論ワークロードを支えるための、まさに「AIの心臓部」を創り上げようとしているんです。
NVIDIA製のGPUが最大80万基という数字は、まさに度肝を抜かれますが、OracleはAMDとも手を組み、2026年第3四半期からはAMD Instinct MI450シリーズGPUを5万基搭載したスーパークラスターも展開する予定だというから驚きです。これは、特定のベンダーに依存しすぎない、リスク分散の戦略とも見て取れますね。NVIDIAのSpectrum-X Ethernetスイッチングプラットフォームや、Oracle独自のAcceleron RoCE (RDMA over Converged Ethernet) ネットワーキングアーキテクチャ、そしてAMDの次世代Pensandoアドバンストネットワーキング「Vulcano」といった技術が、これら膨大なGPU間の超低遅延と高帯域幅を実現する鍵となるでしょう。
投資規模も尋常ではありません。OracleはNVIDIAの高性能コンピューターチップに約400億ドルを費やすと報じられていますし、OpenAIとのStargateプロジェクトには今後5年間で3,000億ドルを超えるパートナーシップが結ばれている。さらに、SoftBankも加わったProject Stargate全体の計画は5,000億ドル規模に達するというから、これはもう国家プロジェクト級ですよ。ドイツのAIインフラに20億ドル投資する計画や、Infosys、LTIMindtree、KPMGといったグローバルシステムインテグレーターがOracleのAIデータプラットフォームに合計15億ドル以上を投資するという話も出ています。これは、Oracleが単なるクラウドプロバイダーから、AIインフラの「デファクトスタンダード」を目指している証拠だと私は見ています。
しかし、これだけの規模になると、技術的な課題も山積しているはずです。マルチギガワット級の電力消費、それを賄うための冷却システム、そして複数のデータセンターにまたがる数十万基のGPUを、いかに効率的かつ安定的に運用するか。OCIのベアメタルGPUコンピューティングでハイパーバイザーのオーバーヘッドを排除し、最大限の性能を引き出すというアプローチは理にかなっていますが、それでも運用は至難の業でしょう。
この動きは、AI業界全体に大きな波紋を投げかけることになります。Baseten、Luma AI、Mithril、Modular、Rime、TensorといったAIスタートアップが既にOCIを利用しているという話は、Oracleが単に巨大なインフラを提供するだけでなく、AI開発のエコシステム全体を取り込もうとしていることを示唆しています。投資家としては、このOracleの動きが、他のクラウドプロバイダー、例えばAWSやAzure、Google Cloudにどのような影響を与えるのか、注意深く見守る必要がありますね。彼らも黙って見ているわけがないでしょうから、さらなる大規模投資や提携が発表される可能性も十分にあります。
技術者にとっては、これだけの規模のAIインフラが利用可能になることで、これまで不可能だったような大規模なAIモデルの研究開発が可能になるという夢のような話です。しかし同時に、この巨大なインフラを最大限に活用するためのスキルや知識も求められるようになるでしょう。
正直なところ、Oracleがここまで本気でAIインフラの覇権を狙ってくるとは、数年前には想像もしていませんでした。彼らのデータベースビジネスのイメージが強かっただけに、この大胆な戦略転換には驚きを隠せません。この巨大なAIスパコンが、本当にAIの未来を「ゼタスケール」で変えることができるのか、それとも単なる壮大な夢物語で終わるのか。あなたはどう思いますか?私個人としては、この挑戦がAIの新たな地平を切り開くことを期待しつつも、その実現にはまだ多くのハードルがあるだろうと、少しばかり懐疑的な目を向けています。