GMOとNTTが描く分散型AI基盤の真意とは?
GMOとNTTが描く分散型AI基盤の真意とは?
おや、これは面白い動きですね。GMOとNTTが共同で進めている分散型AI基盤の実証実験、あなたもニュースで目にしましたか?正直なところ、20年間このAI業界を見てきて、最初は「また新しいインフラの話か」と、少し懐疑的な目で見ていました。でも、詳細を読み込むうちに、これは単なる技術的な試み以上の、もっと深い意味があるんじゃないかと感じ始めたんです。
考えてみてください。今のAI開発って、高性能なGPUがどうしても必要ですよね。NVIDIA H100 Tensor Core GPUのような最新鋭のチップは、まさにAIの心臓部。でも、これらをどこにでも置けるわけじゃない。電力、冷却、そして物理的なスペースの制約が常に付きまといます。特に、大規模な学習モデルを動かそうとすれば、NVIDIA Spectrum-Xのような高速ネットワークで接続されたGPUクラスターが不可欠になります。国内商用クラウドサービスで最速を誇る「GMO GPUクラウド」が、世界のスーパーコンピュータランキング「TOP500」で37位、国内商用クラウドプラットフォームで6位にランクインしているという事実が、その性能の高さと需要の大きさを物語っていますよね。
しかし、このGPUリソースを、必要な時に必要な場所で、しかも遠隔地からでも使えるようにするというのは、長年の課題でした。データセンターの物理的な距離が、どうしてもパフォーマンスのボトルネックになってしまう。特に、AIモデルの学習や推論では、GPUとストレージ間のデータ転送速度が命取りになりますから。
そこに、NTTグループが提唱する次世代情報通信基盤「IOWN APN(All-Photonics Network)」が組み合わされるという話を聞いて、私の眉はピクリと動きました。IOWN APNは、ネットワークから端末まですべてを光ベースの技術で構築し、圧倒的な低消費電力、高品質・大容量、そして何よりも「低遅延」を実現するという、まさに夢のような技術です。
今回の実証実験では、福岡に設置されたGMOインターネットのGPUと、東京にあるNTTのストレージ間、約1,000kmもの距離をIOWN APNで接続し、AI開発における性能評価を行うというんですから、これは本気度が違います。2025年7月には疑似遠隔環境での事前検証が成功したと聞いて、さらに期待が高まりました。そして、2025年11月から12月にかけては、いよいよIOWN APNの実回線を用いた商用実装に向けた実用性評価が予定されている。これは、単なる研究室レベルの話ではなく、具体的なビジネス展開を見据えた動きだと捉えるべきでしょう。
この共同実験には、GMOインターネット、NTT東日本、NTT西日本、そして株式会社QTnetが共同実験協定を締結して参加しています。さらに、NTTコミュニケーションズやNTTドコモもIOWN関連のAI実証に携わっているという話ですから、NTTグループ全体としてのコミットメントの高さが伺えます。NTT Comの関連実証では、生成AIモデルの学習、カスタマイズ、展開のためのエンドツーエンドプラットフォームとして「NVIDIA NeMo™」が活用されているという情報もあり、最先端のAI技術を積極的に取り入れていることがわかります。
正直なところ、最初は「本当に1,000km離れた場所で、GPUとストレージを低遅延で連携できるのか?」という疑問が頭をよぎりました。過去にも、分散コンピューティングやグリッドコンピューティングといった概念はありましたが、ネットワークの遅延が常に大きな壁となっていましたからね。しかし、IOWN APNの「圧倒的な低遅延」という特性が、この長年の課題を解決する可能性を秘めているとすれば、これはゲームチェンジャーになり得ます。
投資家の方々には、この動きを単なる技術実証と捉えるだけでなく、その背後にある大きな市場の変化を読み解いてほしいですね。GMOインターネットグループは、AIおよびロボティクス分野への投資・支援を行う「GMO AI & Robotics株式会社」を設立していますし、NTTグループはIOWN構想の推進に大規模な投資を行っています。分散型AI基盤は、そのIOWN構想の中核をなすものと位置付けられているわけですから、これは長期的な視点での成長戦略の一環だと見るべきです。AIリソースが物理的な制約から解放されれば、地方の企業でも高性能なAI開発環境にアクセスできるようになり、新たな産業が生まれる可能性も秘めています。
そして、エンジニアの皆さんにとっては、これはまさに夢のような話かもしれません。GPUの物理的な配置を気にすることなく、必要な時に必要なだけリソースを呼び出し、AIモデルを開発できる。これは、開発の柔軟性を飛躍的に高めるだけでなく、災害時におけるAIリソースの耐障害性向上にも繋がります。全国規模でのAIリソースの最適配置を可能にする「分散型AIクラウド」の実現は、まさに次世代のAIインフラの姿と言えるでしょう。
もちろん、課題がないわけではありません。分散システム特有の管理の複雑さや、セキュリティの問題など、乗り越えるべき壁はまだたくさんあります。しかし、このGMOとNTTの共同実証は、その壁を乗り越えるための一歩であり、IOWN APNの広範な展開による新しい社会ネットワーク基盤の構築に向けた重要なマイルストーンとなるはずです。
完璧な解決策はまだ遠いかもしれませんが、この一歩は大きい。私自身、20年前にインターネットが普及し始めた頃のワクワク感を、今この分散型AIの動きに感じています。さて、あなたはこの分散型AIの未来に、どんな可能性を見出しますか?